## ロシアが生んだ「ブルーの妖精」:ロシアンブルーの魅力と、健康にまつわる真実

絹のように滑らかな銀青色の被毛、エメラルドグリーンの瞳で神秘的な雰囲気を漂わせるロシアンブルー。

その美しい姿と、どこかミステリアスな雰囲気から、「冬に舞う雪の妖精」「ブルーの貴婦人」などとも称され、世界中で愛されています。

今回は、ロシアンブルーの歴史や性格、飼育上の注意点、気を付けたい病気などについて、詳しく解説していきます。

### 1. ロシアンブルーの歴史:謎多き起源と、その気品漂う軌跡

ロシアンブルーの起源は、その名の通りロシアとされていますが、正確なことは分かっていません。

一説には、16世紀頃に、ロシア北部のアルハンゲリスク港から、イギリスの船乗りによって持ち帰られたのが始まりと言われています。

当時、ロシアでは、その美しい銀青色の被毛から、「アルハンゲルの青い猫」と呼ばれ、王族や貴族たちに愛玩動物として珍重されていました。

#### 1.1. イギリスで人気を獲得、そして世界へ

1875年にイギリスで開催されたクリスタルパレス・キャットショーに、初めて「アルハンゲリアン」という名前で出品されると、その美しさと優雅さで、一躍注目を集めました。

その後、1912年には、現在の「ロシアンブルー」という名前に改名され、世界各地で愛される猫種へと成長していきました。

#### 1.2. 第二次世界大戦後の危機と復活

第二次世界大戦後、純血種の数が激減し、絶滅の危機に瀕した時期もありましたが、愛好家たちの努力により、イギリスのブリティッシュショートヘアーや、フランスのシャルトレックスなどの猫種を交配することで、再びその数を増やしていきました。

### 2. ロシアンブルーの性格:神秘的な美しさの中に秘めた、繊細な心

ロシアンブルーは、その神秘的な容姿とは裏腹に、飼い主に対しては、深い愛情と信頼を寄せる、甘えん坊な一面も持ち合わせています。

#### 2.1. 飼い主に忠実な「甘えん坊さん」

* 飼い主と過ごす時間を何よりも大切にし、膝の上で甘えたり、喉をゴロゴロ鳴らして愛情表現をしてくれます。
* しかし、初対面の人には、警戒心が強く、距離を置く傾向があります。

#### 2.2. 静かで穏やかな「平和主義者」

* 無駄に鳴いたり、騒いだりすることが少なく、静かで穏やかな性格です。
* 他の猫やペットとも、比較的仲良く暮らすことができます。

#### 2.3. 賢く、感受性が豊か

* 飼い主の気持ちを敏感に察知し、空気を読むことができる、賢い一面も持ち合わせています。
* その反面、環境の変化やストレスに弱く、体調を崩しやすい一面も。

### 3. ロシアンブルーの飼育:繊細な心の持ち主に、最高の環境を

ロシアンブルーは、比較的飼育しやすい猫種ですが、ストレスを感じやすい一面も持ち合わせているため、環境作りには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

#### 3.1. 安心できる空間づくりを

* 静かで落ち着ける場所を確保してあげましょう。
* 高低差のある空間を好むため、キャットタワーなどを設置するのもおすすめです。

#### 3.2. 清潔な環境を心がける

* トイレを清潔に保ち、常に新鮮な水とフードを用意しましょう。
* 短毛種なので、毎日のブラッシングは、週に2〜3回程度で十分です。

#### 3.3. 無理強いは禁物

* 過度なスキンシップや、無理な抱っこは避け、猫のペースに合わせてコミュニケーションをとりましょう。
* 信頼関係を築くことが、ストレス軽減につながります。

#### 3.4. 定期的な健康チェックを

* 比較的健康な猫種ですが、遺伝的にかかりやすい病気もいくつかあります。
* 早期発見・早期治療のためにも、年に一度は動物病院を受診しましょう。

### 4. ロシアンブルーの気を付けたい病気

ロシアンブルーは、一般的に丈夫な猫種ですが、注意すべき病気もいくつかあります。

#### 4.1. 尿石症

* 尿中のミネラル成分が結晶化し、尿路に詰まってしまう病気です。
* 頻尿、血尿、排尿時の痛みなどの症状が現れます。
* 食生活の改善や、場合によっては手術が必要になります。

#### 4.2. 肥大型心筋症 (HCM)

* 猫に最も多く見られる心臓病の一つで、心筋が異常に肥大してしまう病気です。
* 呼吸困難、食欲不振、体重減少などの症状が現れます。
* 早期発見・治療が重要となります。

#### 4.3. 多発性嚢胞腎 (PKD)

* 腎臓に多数の嚢胞(水の入った袋状のもの)ができる病気です。
* 進行すると、腎不全を引き起こす可能性があります。
* 遺伝的な要因が大きい病気です。

#### 4.4. その他

* **糖尿病**: 血糖値が慢性的に高くなる病気です。食事療法やインスリン注射などの治療が必要になります。
* **歯周病**: 歯垢や歯石が溜まることで、歯肉炎や歯周炎を引き起こします。定期的な歯磨きなどのケアが必要です。

### 5. ロシアンブルーとの暮らし:神秘的な魅力と、その先に待つ深い絆

ロシアンブルーは、その神秘的な美しさだけでなく、飼い主だけに心を許す、深い愛情と繊細さを併せ持つ魅力的な猫種です。

健康で長生きするためには、日頃から愛情と責任を持って、彼らの声に耳を傾け、適切な飼育管理を行うことが大切です。

ロシアンブルーとの暮らしは、きっとあなたの人生を豊かにしてくれるでしょう。